『感情はネコである』表紙 — 青い扉の前で、上を見上げて座る茶トラの猫
書籍 / Book

感情はネコである

わかってから暮らすのではなく、
暮らしながらわかる。

会う約束の日、出かけようとすると、内側のネコが身を低くする。それでも相手を思い浮かべると、顔を上げる。楽しみと不安に分けても、二つは別々の箱には収まらない。本書は、名前だけでは言い尽くせず、思いどおりにも動かない内側を「内なるネコ」と呼ぶところから始まる思索エッセイです。

公開草稿版 1.0

「自分も他者も、わかりきらないまま大切にする」という考えを、日常の場面から確かめていきます。現時点の考えをまとめた公開草稿版を、無料で公開しています。今後、内容を見直し、正式に刊行する可能性があります。

「私は私の気持ちがわからない」

大切な人から、そんな言葉を聞いた。——「はじめに」より

気持ちを一つずつ分けて、名前をつければ、わかった気になれる。けれど、分類に当てはめるほど、感じていることからずれていく。本書は、そんなふうに名前だけでは言い尽くせず、思いどおりにも動かない内側を「内なるネコ」と呼んでみるところから始まります。

ネコは、出かける前に戸口でためらう。近づいては下がり、それでも相手を思って顔を上げる。感情を消したり、言い聞かせたりするのではなく、付き合う相手として扱う。感情と事実を分けて、いま何がわかっていて、何がまだわかっていないのかを見分ける。わかってから暮らすのではなく、暮らしながらわかる。その立場を、短い日常の場面から一つずつ確かめていきます。

向くのは、自分や他者を大切にしたいのに、理解しようとするほど説明に収まらないものに出会う人です。心理学や哲学の予備知識も、猫との暮らしの経験も要りません。認めること、暮らすこと、関わること、愛することを、四つの章で考えます。答えを急がず、自分の暮らしに持ち帰れる言葉を探す一冊です。

四つの章で、順に考えます

「認める」「暮らす」「関わる」「愛する」。同じ結論を言い換えるのではなく、問いを少しずつ広げていきます。

01

第一章 感情を認めるとは、何をすることか

友人と集まった夜、帰りたい身体と、まだ聞きたい耳が同時にある。そんな場面から、感情は行動を決める命令なのかを考えます。感じたことをなかったことにせず、命令もさせず、行為を選ぶ材料として受け取る。この本でいう「認める」を確かめる章です。

Key: 認める / 感情と事実
02

第二章 この感情と、どう暮らすか

棚をつくる日曜と、よく笑った夜。気分のよさだけでは、暮らしのよさは決められません。いまの感じ、望んでいる過ごし方、それを支える条件の三つを並べ、部屋や予定、お金や時間に手を入れながら、暮らしを選び直していきます。

Key: 暮らす / 機嫌と条件
03

第三章 別の内側を持つ人と、どう関わるか

朝に送った誘いに、夕方になっても返事がない。八時間も待つと、相手も同じように迷っているのだと考えてしまう。その入れ替わりから、相手の気持ちはどこまでわかるのか、決まる前に何を伝えられるのかを考えます。

Key: 関わる / 沈黙と返事
04

第四章 望みが違っても、大切にできるか

来月の旅行を決められないまま、買い物の途中で返事を書く。大切に思うことと、同じ近さでい続けられることは、別です。相手の暮らしに関心を向けながら、自分の願いも消さずに、約束や距離をどう選び直すかを考えます。

Key: 愛する / 距離と約束

この本が、言い切ったこと

本文から、言い切っている一文だけを抜いてきました。はじめにとおわりに、四つの章から、ひとつずつ。

僕たちは、わかりきらないまま、もう暮らしている。
はじめに
一つの行動を選ぶのに、全部の気持ちの承諾をもらう必要はない。
第一章「感情は、行動を決める命令なのか」
この章でいう「暮らす」は、気持ちが片づいてから始まるものではない。
第二章「変えられることと、変えられないこと」
二人が同じものを同じ程度に好きになる必要はない。
第三章「違うまま関わると、何が生まれるか」
大切だという気持ちが残っていても、続けられない近さというのがある。続けられないことは、大切でなかったことにはならない。
第四章「愛しながら、離れることはできるか」
相手との関係も、説明を完成させてから始まるわけではない。
おわりに

五コマのネコ

本文のあいだには、五コマの挿絵が六点入ります。どれも、言葉になる前のネコの動きを描いたものです。

五コマの挿絵。青いクッションで眠っていた茶トラの猫が、伸びをして、日なたへ歩き出す。
まだ眠い。それでも、日なたへ出ていく。 第一章より
五コマの挿絵。雨の窓辺で外へ手を伸ばした猫が、床の水と赤い玉で遊びはじめる。
窓の外へ手を伸ばして、それから足もとの水で遊ぶ。 第一章より
五コマの挿絵。日なたの路地で、青い扉の下に落ちた葉っぱに気づき、前足を伸ばす猫。
用のない路地で、足が止まる。 第二章より
五コマの挿絵。差し出された空き箱を確かめ、中に入って落ち着く猫。
空き箱が、ちょうどいい居場所になる。 第二章より
五コマの挿絵。椅子の下で身を低くしていた猫が、差し出された手にそっと触れるまで。
差し出された手に、しばらくして触れる。 第三章より
五コマの挿絵。人の足元を通り過ぎ、水飲み皿へ向かって水を飲む猫。
決まらないまま、水を飲む。 第四章より

こんなときに、開いてみてください

  • 会いたいのに、会うと思うと身構えてしまうとき。
  • 返事を待つあいだに、相手の気持ちを決めてしまうとき。
  • 大切な人なのに、望みが違ったままのとき。
  • 楽しいのに、この先も続けたいのかわからないとき。

書籍情報

書名 感情はネコである —— 自分の感情と、どう生きるか
著者 蛍
発行元 葉桜ラボ
版 公開草稿版 1.0
形式 全文HTML/EPUB
閲覧・ダウンロード 無料で閲覧・ダウンロードできます
構成 はじめに/四章(各3節)/おわりに
挿絵 五コマの絵 6点(生成AIを用いて制作)
テーマ 感情と事実 / 内なるネコ / 自分と他者のわかりきらなさ / 大切にすること

本文の例と挿絵の場面は、考えを試すためにつくられたものを含みます。人の心理や感情の変化についての実証結果ではありません。

利用条件

本書は無料で閲覧・ダウンロードできます。個人で読むための保存を認めます。法令上認められる利用を除き、無断での転載・再配布・改変版の公開は許可していません。紹介の際は、作品ページへのリンクをご利用ください。